soshiki--ex’s diary

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夫婦でも交際中でもダメなものはダメ

どこかの国会議員が、交際中の女性が眠っている間に性的暴行を加えて、しかも女性の裸を画像に撮影していたというので、女性がカンカンに怒っているという事件を、先ほどテレビのワイドショーで紹介していました。議員先生ともあろう方が、何をやっているのでしょうか。何とも情けないですね。

 

さて、その件について知り合いが「交際中なんだから、その程度はいいんじゃないの」などと首を傾げました。

 

昔の日本では、夫婦間や家族間、交際中などの関係にあると、暴力行為などが容認されるようなことが多くありました。法律的にも、夫婦間の性的暴行は罪に問われないなどといわれていました。

 

しかし、もう33年前に、夫婦間でも性的暴行は犯罪だと裁判で認められています。

 

1984年(昭和59年)のこと、鳥取県で度重なる夫の暴力から逃れるため実家に戻っていた22歳の主婦が、待ち伏せしていた26歳の夫とその友人の29歳の男にクルマで拉致され、山中で夫と友人の2人から暴力をふるわれた上に、車内で性的暴行を受けたという事件が起きました。

 

これに対して、主婦は夫とその友人を暴行と強姦(現在の強制性交)で訴えました。鳥取地検も、85年3月に起訴に踏み切りました。

 

当時はまだ「夫婦間に強姦罪は成立しない」という考えが一般的で、被告の夫と友人側もそれに基づいて無罪を主張しました。

 

ところが、1986年12月17日、鳥取地裁は夫に懲役2年10ヶ月(求刑・懲役3年)、29歳友人に懲役2年(求刑・同2年6ヶ月)という有罪判決を言い渡しました。「夫婦間のレイプも罪に問われる」という、画期的な判決でした。

 

夫側はこれを不服として控訴します。でも、広島高裁松江支部鳥取地裁の判決を支持して、控訴は棄却されます。高裁では「夫婦生活が事実上破たんしている場合には、互いに性を求める権利・義務はない」という判断も追加されました。

 

夫側はしぶとく上告しますが、おそらく弁護士から勝ち目はないとでも言われたのでしょう、1987年9月に上告を取り下げ、刑が確定しました。

 

その後、2001年にはDV防止法が成立して、たとえ夫婦間や家族間でも暴力は犯罪であるという法律が整備されました。

 

そもそも、夫婦だから、家族だから、交際しているからなどといって、暴力をふるったり、相手を虐待したりすること自体、人の道から外れた行為です。児童虐待を「しつけだ」などと言うのも同様です。

 

法律は整備されましたが、DVはまだまだ後を絶ちません。法律だけの問題ではない、ということでありましょう。