soshiki--ex’s diary

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友人の条件

先日、2月15日は「兼好忌」だそうです。兼好法師というと、『徒然草』という作品の著者としてよく知られていますね。この『徒然草』ですが、担当が中学や高校の頃には、古典の教科書の定番でした。その内容は、毎日の気づいたことや思ったことを書き留めたもの。現在でいうなら、ブログやツイッターみたいなものです。

 この第百十七段に、友達についての意見が述べられています。短いので、全文を引用してみましょうか。


 友とするに惡(わろ)き者、七つあり。一つには、高くやんごとなき人、二つには、若き人。三つには、病なく身つよき人。四つには、酒を好む人。五つには、武く勇める兵。六つには、虚言する人。七つには、慾ふかき人。
 善き友三つあり。一つには、ものくるゝ友。二つには、醫師。三つには、智惠ある友。

 

 つまり、①高貴な人、②若者、③健康な者、④酒好き、⑤勇猛果敢な兵士、⑥嘘つき、⑦欲張りなヤツ、といった人間は友達にしないほうがいい、といいうわけです。かなり兼好先生の好みが入っているようですが、なんとなくわかる気もします。とくに、⑥や⑦は嫌ですね。担当自身は④なので、ちょっと困ってしまいます。③なんて意外ですが、担当の経験で言うと、病気もしたことのない人というのは、ちょっと自信過剰で弱い人への思いやりにかけることもあるみたいです。もちろん、健康でも配慮ある人は多いですが。

 

 興味のあるのは、「善き友三つ」のほうです。②の医師や③の知恵のある人はわかりますが、①のモノをくれる者というのは違和感を覚える人が少なくないのではないでしょうか。打算的だなあ、なんて。

 担当も、若い時にはそう思っていました。でも、年齢を重ねるごとに、兼好先生の意見にうなずくようになっていきました。

 とにかく世の中には、口先だけのヤツが多い。「オレはお前の味方だ」とか「いざとなったら絶対に力になる」なんて日ごろから言っておきながら、その「いざ」という時になると、「今忙しい」とか「それはちょっとわからない」などと言って、何もしてくれない連中がなんと多いことか。中には「何も出来ないが、応援しているぞ。頑張れ」なんて、口で言うだけなのに大威張り、といったヤツまでいます。

 そんな時、「これでも食って元気出せ」と、あんぱん1個でも差し出してくれる人間は、やはり頼りになるものです。

 口先だけでなく、たとえ僅かでも具体的になにかしてくれる人間、そういう者こそ友達にふさわしい。兼好先生は、そういうことを言いたかったのではないかと思います。